攻撃は最大の水物
【甲子園1回戦 横浜6−11大阪桐蔭】
史上初となる2度目の春夏連覇へ挑戦は1回戦であっけなく幕を閉じた。「攻撃は最大の防御」と銘打った横浜史上最強打線。しかしその名目はあくまでも結果論として掲げるべきものだ。チャンスで強引に引っ張り凡打を重ねた攻撃陣。どんなに力のある打線であっても、いつでも思い通りに投手陣を援護できる保証などない。
90年代前半、横浜は後にプロ野球選手となる多くの好打者を擁し甲子園に出場。しかし、優勝候補に挙げられながらも自慢の打線はことごとく沈黙。当時の渡辺監督は「打線は水物」という言葉を痛いほど味わった。
その後、小倉部長との二大指導者体制が軌道に乗り、緻密なデータに裏づけされたハイレベルな走塁、連係プレー、投手のタイプに応じた徹底した打撃スタイルで新しい横浜野球が確立された。全国最高峰の高度な野球は多くのファンを魅了し、高校野球の域を超えているとまで言われた。
しかし、この夏の横浜は過去にタイムスリップしてしまったかのような拙攻続きのちぐはぐな野球になってしまった。守備からリズムを作ることもできず、極度の緊張状態でのスクイズ失敗は、いつしかのシーンを思い出してしまう。あの時の相手も大阪代表だった。
今回の大敗は、横浜首脳陣にとっては想定内だったかもしれない。そうあってほしい。百戦錬磨の指揮官が「打線は水物」という通念を軽視していたはずがない。それでも勝ち抜けると踏んだ2006年の超攻撃型野球。しかし現実は“甲子園の魔物”にまんまと飲み込まれる結果となった。
どうすれば甲子園を勝ち抜けるのか? 答えなんて無い。それでも指揮官たちは確固たる信念を持って選手たちを指導しなければならない。例年にない極端な「打高投低」だった今年の神奈川高校野球。その象徴となる代表校の敗戦から学ぶことは多い。
横浜高校の夢はあっけなくついえた。
それでも、前人未踏の2度目の春夏連覇にチャレンジした横高ナインには拍手を送りたい。周囲からの期待と重圧は想像を絶する。そんなプレッシャーの中でも激戦の神奈川大会を圧倒的な強さで勝ち抜き、再び甲子園の舞台に戻ってきた選手たちのたゆみない努力と強い精神力は賞賛に値する。
最終回、代打で登場した3年生の古城知明が球に逆らわない技ありのヒット。そして3年生・越前一樹の左翼席中段に突き刺さる豪快なホームラン。対照的な二人の打撃だったが、どちらも横浜が追求する野球スタイルだ。歴史を重ねて築き上げられた横高野球の伝統は後輩たちへ受け継がれた。甲子園がある限り、進化し続ける横浜の挑戦は続く。
コメント一覧
1. パクスケさん
さん 2006年08月08日 00:28
さすが、ガックスさんですね(^_^)vおっしゃる通り、90年代前半は県大会では強力打線、ドラマティックな試合展開を演じながらも、甲子園では意外とも思える相手にコロッと負けてしまい、期待外れでした。何と言っても98年の春夏連覇を境に選手が入れ替わっても、勝てるチームに変貌を遂げたと思います。例年の戦法なら大阪桐蔭にも勝っていたと思います。昨年、慶應に勝負所で立て続けに負けたことや、駒大苫小牧の連覇が影響したのでしょうか??
確かに県大会の打棒、甲子園でもホームランが出たのは凄かったと思いますが、勝てた試合だけに初戦敗退は本当に残念でした(>_<)
確かに県大会の打棒、甲子園でもホームランが出たのは凄かったと思いますが、勝てた試合だけに初戦敗退は本当に残念でした(>_<)
2. ガックス
さん 2006年08月08日 00:40
首脳陣にとっては、今回のチーム方針が本望ではないと思います。甲子園入りが決まってからも「攻撃・攻撃」と言い続けていたのは、実はカモフラージュなのかとも思っていましたが、実際は見ての通りの結果。選手たちの慢心を抑制するのが監督の役目だったはずなのに、残念な負け方でしたね。満塁でのスクイズのサインは監督の焦りの現れです。選手にもその心情が伝わってしまっていたのかもしれません。ここ数年で神格化されつつあった渡辺監督もやはり人間だったのでしょう。でも、ベンチから選手を見つめる聖者の眼差しは、渡辺さんにしかないものなんですよね。今回こそは本当の集大成と言われている2年後の夏にどんな横高野球が見られるか今から楽しみです。もちろん、来季もすごいメンバーが揃っているので神奈川は激戦になることでしょう。
3. パクスケさん
さん 2006年08月09日 01:36
やっぱりそうお考えでしたか!例年は謙虚な渡辺監督も今年は何か違う?って感じでしたし、お疲れだったのかもしれませんが、リードされてからベンチに座ってしまった監督の姿が意外な気がしました。問題の川角のスクイズのシーンを高校野球に関心のない父がたまたま見ていたのですが、疑問に感じたみたいです。今年のチームは打撃ばかりに重心を置いて来たので、県大会でもバントやスクイズはあまり成功していませんし、それを要求される緊迫した試合もありませんでした。新チームには高濱や松本などが残りますが、この戦法を継続して行くのか、98年以降、実践して来た堅実路線に戻るのか、神奈川&全国の高校野球
ファンは注目しています。
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